【成分解説】ニワトリ多能性細胞培養順化培養液(EGG B.P Cell:通称「鶏卵幹細胞」)
EGG B.P Cell の正体
前回までのコラムでは、幹細胞の種類を2つの切り口で見ていきました。
一つは、「何由来か?」という切り口です。
それには「(A)ヒト由来」「(B)植物由来」「(C)動物由来」という3種類があるというお話をしました。
また、「どのような分化の段階か?」という切り口では、以下の3つの種類があるというお話をしました。
①全能性幹細胞(totipotency)
②胚性幹細胞(pluripotent) ※1
③組織幹幹細胞(multipotent)
結論だけ先にお伝えすると、ニワトリ多能性細胞培養順化培養液(EGG B.P Cell)は、ovacoの研究チームが開発した、
「(C)動物由来」の、「②胚性幹細胞(pluripotent)」にあたるものです。
※1:ES細胞:Embryonic Stem Cell
前回までのコラムについては、こちらを参照してください。
・肌のターンオーバーと老化について
・幹細胞と美容医療の世界
・幹細胞と化粧品
EGG B.P Cell(ニワトリ多能性細胞培養順化培養液)の特徴
鶏の胚性幹細胞から生まれた成分
「ニワトリ多能性細胞培養順化培養液(EGG B.P Cell)」は、鶏の受精卵を細胞分裂3分割目(細胞8個の段階)まで成長させた状態から、科学の力を用いて培養して作られた成分です。
このプロセスで抽出されるのは、肌の再生に重要な働きを持つ「信号物質」です。
動物由来成分が求められる理由
肌のターンオーバーを促進する信号物質を抽出するには、植物ではなく動物由来の幹細胞が必要です。
最も効果的なのはヒトの胚性幹細胞(胎盤から抽出される細胞)ですが、倫理的な課題や供給の難しさから化粧品での使用は困難です。
そのため、近年は脂肪幹細胞が注目されていますが、脂肪幹細胞は、胚性幹細胞ではなく組織幹細胞という特定の運命が決まった細胞であり、胚性幹細胞に比べて信号のレベルが低い傾向があります。
脂肪幹細胞を高濃度で使用すれば胚性幹細胞に匹敵する効果を出せる可能性はあるものの、非常に高い技術力とコストが必要となります。
鶏の卵が選ばれた理由
ヒトの骨髄由来や歯髄由来の幹細胞も、胚性幹細胞と同等の成長因子(グロースファクター)を分泌すると言われています。しかし、これらの幹細胞は医療分野での需要が高く、化粧品への安定供給は現時点では難しい状況です。
そこで、ovacoの研究チームが着目したのが鶏の卵です。受精卵が細胞分裂を始めた「3分割目(細胞8個の状態)」で抽出された胚性幹細胞を培養することで、安定的かつ倫理的な問題をクリアしながら高品質な成分を得ることに成功しました。この技術によって得られたのが「ニワトリ多能性細胞培養順化培養液」です。
「鶏卵幹細胞」についてのよくある質問
①卵を何個使ったんですか?
鶏の卵が細胞分裂を開始してから、8個の段階で1回抽出をして、科学の力で培養しています。
数ヶ月培養したものを最初の製品に使用し、その後マイナスで冷凍保存をし、必要なときに解凍して増やします。
培養されたそのものの細胞は廃棄します。
②卵アレルギーなのですが…
抽出しているのは幹細胞を培養したときに出る「信号物質」を配合しており、卵アレルギーは関係がありません。
国際評価について
INCIに登録されている商品です
化粧品成分の国際的表示名称として、以下の内容で、INCIに登録されています。
・世界で初めて、「EGG Blastodermal Pluripotent Stem Cells(鶏卵幹細胞培養上清液)」を化粧品に採用!
・「体内の再生信号を刺激することに着目した化粧品」として、海外の有名な展示会でも受賞しました。
2017年のCOSMOPROF(香港)でBEST AWARD受賞
COSMO PROFは、国際的な化粧品の展示会です。
この展示会で、次の世界の化粧品業界のトレンドが作られるといっても過言ではありません。
2017年に香港で開催されたCOSMO PROFで、「BEST AWARD」を受賞しています。
さいごに
前回までのコラムについては、こちらを参照してください。
・肌のターンオーバーと老化について
・幹細胞と美容医療の世界
・幹細胞と化粧品
【参考文献】
・再生医療ポータル
https://saiseiiryo.jp/basic/detail/basic_06.html
https://saiseiiryo.jp/basic/detail/basic_02.html
・パーソナルiPS
https://personalips.com/archives/838
・Beauty & health
https://s3b.tokyo/beauty/stem-cell-therapy/