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お肌の知識

幹細胞と美容医療の世界

幹細胞の能力

幹細胞には、他の細胞とは異なる、2つの能力を持っています。


1.自己複製能力

自分と同じ幹細胞を増殖させる能力です。
幹細胞は分裂をくり返すことにより、自分と同じような形と能力を持つ別の細胞をつくり出すことができます。


2.分化能力

他の組織細胞に変化する能力です。
幹細胞は必要に応じて、他の組織細胞に変化することができるのです。



「幹細胞」と「幹細胞培養上清液」

化粧品などで「幹細胞配合」という表記を目にすることがありますが、実際に配合されているのは幹細胞そのものではなく、「幹細胞培養上清液」です。

お味噌汁で例えるなら、だしを摂る前の昆布が幹細胞、出汁を摂るためのお湯が幹細胞培養液、出汁をとってお味噌汁にしたものが幹細胞培養上清液、というイメージです。

「幹細胞培養上清液」とは、細胞の中にある幹細胞を取り出し、培養した後の培養液から、成長因子などの重要な成分のみを抽出した、より純度の高い上澄み液のことです。



「幹細胞」の種類


1.「由来」による分類

幹細胞の種類は大きく分けて「ヒト由来」「植物由来」「動物由来」の3つがあります。


①ヒト幹細胞

ヒトの細胞から採取した幹細胞のことです。ヒトの皮下脂肪から採取した脂肪由来の幹細胞が、医療や美容分野で頻繁に使用されています。

人間の細胞の表面には、決まった形をしたレセプター(カギ穴のようなもの)があります。
ヒト幹細胞にはレセプターに合致するリガント(カギ)となる成分が豊富に含まれているため、細胞を活性化する効果が期待できると考えられています。


②植物幹細胞

植物の幹細胞は、種子の中の胚や根の先端、茎の付け根など、細胞分裂が活発に起こっている部分にあります。
動物幹細胞に比べてアレルギーが少ないと言われており、安全に使用できるのがメリットですが、植物幹細胞にはヒト幹細胞のレセプターとリガントのような仕組みはないため、効果が限られてしまいます。
とはいえ、価格は安価であり、保湿力が期待できることから化粧品に多く含まれています。


③動物幹細胞

動物由来の幹細胞は、文字通り動物の細胞から抽出された幹細胞です。
ヒトも動物であることから、効果はあると考えられていますが、アレルギーの課題や動物から抽出したものを体内に取り込む抵抗感から国内ではまだ普及していません。


2.「分化能力」による分類

幹細胞には、いろいろな種類があります。 少々難しい話になりますが、簡単にまとめると以下の通りです。


①全能性幹細胞(totipotency)

【概要】細胞があらゆる細胞に分化することができる、つまり完全な一個体を形成できる能力を持っています。
【例】高等動物では受精卵だけ
【細胞分裂の状態】0回の状態


②多能性幹細胞(pluripotent)

【概要】体を構成する全ての組織細胞や生殖細胞に分化できる未分化な幹細胞
【例】ES細胞、iPS細胞
【細胞分裂の状態】1回(2分割)〜3回(8分割)の状態


③組織幹細胞(multipotent)

【概要】骨髄や肝臓などに存在する未分化な細胞(多能性細胞のように、あらゆる細胞に分化できるわけではなく、分化できる対象が決まっている*1)
【例】造血幹細胞、骨髄幹細胞、脂肪幹細胞、歯の幹細胞、等。
【細胞分裂の状態】4回(16分割)以降の状態


*1:例えば、「神経幹細胞(NSC:NeuralStemCell)は、神経系にある細胞でニューロン、希少突起膠細胞、成状細胞などに分化することはできるが、他の血液や細胞、骨を構成できない」、といった特性を持ちます。




胚性幹細胞と組織幹細胞の違い

「胚性幹細胞(pluripotent)」とは、3分割目(細胞8個)までの状態で、細胞1つから、1人の人間を生み出すことが可能です。
「pluripotent」の意味は「多能性・万能」という意味を持ち、その名の通り「命令次第で何にでもなれる細胞」といえます。
つまりは、「胚性幹細胞」の場合、8個の細胞のうち、1個の細胞が死んだとしても、1人の人間へ成長することが可能です。

一方、「組織幹細胞」とは、4分割目以降(細胞16個以上)の状態ですが、細胞1つ1つの役割(分化できる方向性)が決まってしまうため、1つの細胞から1人の人間を生み出す機能は失われます。
つまり、「組織幹細胞」の場合、16個の細胞のうち、1個の細胞が死んだら、16個の細胞全てが死ぬということです。

これが、「胚性幹細胞」と「組織幹細胞」の違いです。

ちなみに、余談になりますが、理論上、人間を含め、動物は一卵性の8つ子までを産むことが可能です。
また、ここまで話した原理は、動物にも当てはまります。

幹細胞についてもっと知りたい方は、こちらのサイトの説明が、非常にわかりやすいので、参考にしてみてください。

【再生医療ポータル】
https://saiseiiryo.jp/basic/detail/basic_06.html
https://saiseiiryo.jp/basic/detail/basic_02.html



美容医療の世界〜肌再生と幹細胞〜


肌が傷ついたときに起こること

肌再生には「幹細胞がいい」という話を聞いたことがある方は、多いかと思います。
人間の人体の中でも、皮膚と肝臓だけが再生する力を持っていますが、その理由は「幹細胞」にあります。

肌に傷がついたり、損傷を受けたりしたとき、肌は自分を保護するために「肌を再生するための信号」を送り、細胞分裂を促進させて、新しい細胞を作ります。
これが、人間が元々の生命活動維持機能として持っている、肌再生のメカニズムです。


美容医療の世界で、幹細胞治療が「肌再生治療」と言われる理由

美容医療の治療の中に、「肌再生治療」というものがあります。
そこでよく出てくる治療の一つが、「幹細胞治療」です。

幹細胞治療の鍵は「幹細胞成長因子(グロースファクター)」にあります。

先ほど、「肌が傷つくと信号を発して、修復をしようとする」という「肌再生メカニズム」を説明しましたが、「幹細胞成長因子」を使った美容医療は、まさにこのメカニズムを利用しているものです。

幹細胞成長因子は、肌に直接的な影響を与えるのではなく、「肌再生を促進するシグナル」、すなわち「信号」を送る役割をします。
「信号」とは「肌を修復してください」という信号です。

「幹細胞成長因子を含む培養上清液を肌に注入することにより、” 肌が傷ついた ” という偽の信号を送り、肌再生を活性化させる」というのが、幹細胞治療の仕組みであり、「肌再生」の根本的な問題を解決する成分が、「幹細胞成長因子」です。


肌再生で重要なのは、「信号」

美容医療の幹細胞治療も、人体が本来持っている自己回復機能「肌のターンオーバーメカニズム」を前提としたものがほとんどです。

前回のコラム(こちら)で肌のターンオーバーと老化の話を詳しくしましたが、肌のターンオーバーの鍵を握るのは、「肌再生を促すための信号」です。

そして、この「信号」に関する機能が衰えていくと、肌のターンオーバーがうまく働かなくなり、老化につながっていきます。


美容医療の幹細胞治療で重要なのは質と量

ここまでで説明してきました通り、肌再生や肌のターンオーバー改善をしていく上で鍵を握るのは「信号」ですが、美肌治療の幹細胞治療で重量なのはその「質と量」です。

例えば、幹細胞成長因子自体が非常に多く含まれていても、肌のターンオーバーへ働きかけるのには適していないものであった場合は治療効果が落ち、身体に負担がかかることも起こり得ます。
また、幹細胞成長因子の量が少なすぎれば、効果は現れずらくなります。

つまり、幹細胞治療で鍵となっているのは「どのような種類の幹細胞成長因子(グロースファクター)」が「どのくらいの量」入っているのか、です。



さいごに

前回の記事「肌のターンオーバーと老化について」はこちらから

【参考文献】
・SKIP https://saiseiiryo.jp/skip_archive/knowledge/cellresearch/02/13/
・再生医療ポータル
https://saiseiiryo.jp/basic/detail/basic_01.html
https://saiseiiryo.jp/basic/detail/basic_02.html
・Beauty & health
https://s3b.tokyo/beauty/stem-cell-therapy/
・Growth Factor Project
https://m-gfp.com/