「針美容液」「リードル系コスメ」などで目にすることが増えたスピキュール。

スピキュールとは、海綿などの体を支える微細な針状の骨格構造を指す言葉です。美容分野では、この特徴的な形状を生かした原料が美容液やクリームなどに使われています。

「針」と聞くと、チクチクする刺激や「毛穴やしわに効果があるの?」「肌に何日残るの?」といった点が気になるかもしれません。

ただし、スピキュール配合化粧品を見るうえで大切なのは、針状成分が入っているかどうかだけではありません。

海綿由来スピキュールは、その微細な形状を利用した皮膚への物質送達について研究されている素材です。一方で、研究結果をそのまますべての化粧品の美容効果に当てはめることはできません。

この記事では、スピキュールとは何なのか、マイクロニードルとの違い、研究で分かっていること、72時間という情報の意味、チクチク感、選び方や使い方まで分かりやすく解説します。

スピキュールとは?

英語の「spicule」は、小さな針状の構造を表す言葉です。

海綿の多くは、シリカや炭酸カルシウムなどからなる「スピキュール」と呼ばれる骨格要素を持っています。形や大きさは海綿の種類によってさまざまで、細長い針のような形状をしたものもあります。

美容分野では、海綿由来の微細な針状構造を精製・加工した原料が、クリームや美容液などに利用されています。

海綿から得られる微細な針状構造スピキュールのイメージ

全成分表示では「加水分解カイメン」などの名称が記載されている製品があります。

また、「天然マイクロニードル」「美容針」「リードル」などと紹介されることもありますが、これらの言葉が必ずしも同じ原料や技術を意味するわけではありません。

スピキュールとマイクロニードルの違い

スピキュールとマイクロニードルは近い文脈で使われることがありますが、本来は同じ意味ではありません。

名称 主な意味 特徴
スピキュール 海綿などに由来する微細な針状素材 美容液やクリームなどへ配合されることがある
溶解型マイクロニードル 成分を微細な突起状に成形したもの パッチなどとして肌へ一定時間貼り付けて使用する
マイクロニードリング 微細な針を備えた器具を使用する方法 スピキュール配合化粧品とは使用方法や管理方法が異なる

スピキュールとマイクロニードル、マイクロニードリングの違い

なお、研究論文では海綿由来スピキュールを「topical microneedles」と表現する例もあります。

つまり、スピキュールは微細な針状の「素材」であり、その形状を利用した送達手段としても研究されていると考えると分かりやすいでしょう。

スピキュールの効果は?研究で分かっていること

皮膚には、外部から異物が簡単に入り込まないようにするバリア機能があります。

そのため美容・医薬分野では、「物質を皮膚へどのように届けるか」という研究が行われており、海綿由来スピキュールもその研究対象の一つです。

スピキュールの微細な形状と皮膚への物質送達研究を表したイメージ

スピキュールを使った皮膚への物質送達が研究されている

2017年の研究では、特定の海綿由来スピキュールを使用し、水溶性の高分子を皮膚へ届ける方法が検討されています。

豚皮膚を用いた試験や動物試験では、スピキュールによって生じた物理的な変化が、試験物質の皮膚への移行に影響したことが報告されました。

2022年にも、天然スピキュールを利用した皮膚送達システムについて研究が行われています。

こうした研究から、スピキュールは単なる「チクチクする美容素材」としてではなく、その微細な形状を利用した物質送達という観点から研究されている素材であることが分かります。

毛穴・しわ・ニキビへの効果は「スピキュール」だけでは判断できない

一方で、研究で使われるスピキュールと、市販されているすべてのスピキュール配合化粧品が同じものではありません。

研究では、スピキュールの種類や形状、量、試験物質、塗布方法など、特定の条件が設定されています。

そのため、「スピキュールが入っているから毛穴に良い」「しわに良い」「ニキビに良い」「肌が再生する」と、スピキュールという素材だけから完成品の美容効果を判断することはできません。

化粧品として見る場合は、スピキュールの有無だけでなく、どのような保湿・整肌成分と組み合わせ、完成品としてどのような目的で設計されているのかまで確認することが大切です。

また、スピキュールが配合されているからといって、一緒に配合されたすべての成分が同じように角質層へ移行することを意味するものでもありません。

スピキュールは肌に72時間残る?

スピキュールについて調べると、「72時間作用する」「2〜3日残る」といった説明を目にすることがあります。

2017年の研究では、研究に使用された特定のシリカ質スピキュールが、皮膚内に少なくとも72時間保持されたことが報告されています。

ただし、この研究結果は「すべてのスピキュール配合化粧品が72時間作用する」という意味ではありません。

また、海外のOVACO取扱サイトでは「Perfectionist Spicule Cream」について、微細な針状成分が2〜3日で分解されるという説明があります。

この製品説明と、一般研究で確認された「少なくとも72時間保持された」という結果は、同じ情報として扱わず分けて理解する必要があります。

スピキュールの種類や加工方法、製品設計によって条件は異なるため、「スピキュールは必ず72時間後に溶ける」と一般化するのは適切ではありません。

スピキュールはチクチクするほど効果が高い?

スピキュール配合化粧品では、使用時にチクチクとした刺激感を感じる場合があります。

しかし、チクチク感や刺激の強さは、美容効果の高さを測る指標ではありません。

同じ製品でも、使用量や塗り方、その日の肌状態などによって刺激の感じ方は変わります。

「刺激が強いほど効いている」と考えて使用量を増やしたり、必要以上にこすったりするのは避けましょう。

強い痛み、熱感、赤み、腫れ、かゆみなどが出た場合は使用を中止し、症状が続く場合は皮膚科専門医等へ相談してください。

スピキュール配合化粧品を選ぶときの4つのポイント

1. 「美容針」「リードル」という言葉だけで選ばない

「美容針」「天然針」「マイクロニードル」「リードル」などと書かれていても、使用されている原料や加工方法、配合量、製品設計は異なります。

全成分表示で「加水分解カイメン」と記載されている製品同士でも、原料の加工方法や配合量、組み合わせる成分、完成品としての処方まで同じとは限りません。

名称だけで判断せず、メーカーの商品説明や使い方まで確認しましょう。

2. スピキュールと「何を組み合わせているか」を見る

スピキュール配合化粧品を選ぶとき、「何本入っているか」「どれくらいチクチクするか」だけを見る必要はありません。

確認したいのは、スピキュールと一緒に、どのような保湿成分や整肌成分を組み合わせているのかです。

同じようにスピキュールを使用した化粧品でも、組み合わせる成分や処方、使用するタイミングが違えば、完成品としての設計も異なります。

3. 「100」「300」などの数字だけで比較しない

スピキュール系化粧品には、「100」「300」などの数字を商品名に使用しているものもあります。

しかし、こうした数字がすべてのブランドに共通する統一規格とは限りません。

ブランドをまたいで数字だけを比較し、スピキュール量や刺激の強さ、美容効果を判断しないようにしましょう。

4. ファンデーションなどは処方全体を見る

近年では、ファンデーションなどのメイク製品にスピキュールを配合した商品も見られます。

ファンデーションには、顔料や粉体、皮膜形成成分など、肌表面で色や質感を整えるためのさまざまな成分が使われています。

そのため、「スピキュール入りだから良い」と考えるのではなく、なぜその製品にスピキュールを組み合わせているのか、ほかの成分も含めてどのような製品として設計されているのかを確認することが大切です。

スピキュール配合化粧品の使い方と注意点

スピキュール配合化粧品をやさしく肌になじませるイメージ

スピキュール配合化粧品は、製品によって使用量・使用頻度・使用する順番が異なります。

毎日使用することを想定した製品もあれば、使用間隔が指定されている製品もあるため、まずメーカーが案内する使用方法を確認しましょう。

使用頻度を増やしたり、強くこすったりすれば美容効果が高くなるというものではありません。

清潔な肌と手で使用し、必要以上にこすったり押し込んだりしないことが基本です。

初めて使用するときから、スクラブ、ピーリング、レチノールなど刺激を感じやすいケアを一度にいくつも追加すると、肌に違和感が出た場合に原因を判断しにくくなります。

傷、腫れ、湿疹、強い赤みなどがある部分には使用せず、目や口のまわりなど使用を避ける場所についても製品ごとの説明を確認してください。

ovacoがスピキュールだけでなく「製品全体の設計」を考える理由

スピキュール配合化粧品を見るとき、「針状成分そのもの」に目が向きやすくなります。

一方、ovacoでは、スピキュールだけではなく、どのような美容成分と組み合わせ、スキンケア全体の中でどのように使用するのかという視点も重視しています。

ovacoの開発・製造母体である韓国SONIMEDI社は、化粧品原料や処方の研究開発を行ってきたメーカーです。

日本のovaco公式サイトでは、ovacoについてアメリカ・ドイツ・韓国のTDS(Transdermal Delivery System)専門研究チームによって研究開発されたブランドと説明されています。

TDSとは「経皮送達システム」を意味し、物質を皮膚を介してどのように届けるかを研究する技術領域です。

こうした研究背景からも、ovacoでは単に「スピキュールを配合する」だけではなく、配合する成分や処方、使用ステップまで含めた製品全体の設計を考えています。

オバコ 極上のスピキュールクリームの場合

「オバコ 極上のスピキュールクリーム」には、加水分解カイメン由来の微細な針状成分に加え、DNA-Na、アセチルヘキサペプチド-8、トリペプチド-1銅、ナイアシンアミドなどの整肌成分が配合されています。

つまり、スピキュール単体を美容成分の主役として考えるのではなく、複数の整肌・保湿成分を組み合わせた一つのスキンケア製品として設計されているということです。

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オバコ 極上のスピキュールクリーム

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まとめ|スピキュールは「針の強さ」だけで選ばない

スピキュールとは、海綿などに由来する微細な針状構造を持つ素材です。

美容・医薬分野では、その特徴的な形状を利用した皮膚への物質送達について研究されています。

ただし、研究結果をそのまますべてのスピキュール配合化粧品へ当てはめることはできません。

「どれくらいチクチクするか」「何本入っているか」ではなく、どのような成分と組み合わせ、どのような目的で製品全体が設計されているのかを見ることが、スピキュール配合化粧品を選ぶうえで大切です。

使用するときも、刺激の強さを美容効果の目安にせず、製品ごとの使用量・頻度・順番を確認して取り入れましょう。

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参考文献・参考情報

本記事は一般的な化粧品・スキンケア情報を提供するもので、特定製品の効能を保証するものではなく、医療診断や治療を目的とするものでもありません。化粧品の使用中に強い、または続く赤み、腫れ、かゆみ、熱感、痛みなどの異常を感じた場合は使用を中止し、症状が続く場合は皮膚科専門医等へご相談ください。