美容液やクリームの成分表示で見かける「ペプチド」。ハリやキメを意識した化粧品で紹介されることが多く、「どんな成分?」「種類によって何が違うの?」と気になる方もいるでしょう。

ペプチドとは、複数のアミノ酸がつながった化合物の総称です。

一つの成分を指す言葉ではなく、つながっているアミノ酸の種類や数、構造によって性質は異なります。

そのため、化粧品を選ぶときに大切なのは、単に「ペプチド配合」と書かれているかを見ることではありません。

どのペプチドが使われているのか。その成分が、どのような処方の中に組み込まれているのか。

この記事では、ペプチドとアミノ酸・たんぱく質の違い、化粧品に使われる主な種類、成分表示の読み方、研究結果を見るときの注意点まで解説します。

後半では、ovacoを開発・製造する韓国SONIMEDIの研究と、EGG B.P CELLシリーズの実際の成分表示から、「成分名だけではなく化粧品全体を見る」という考え方まで掘り下げます。

ペプチドとは?アミノ酸・たんぱく質との違い

ペプチドを理解するために、まずアミノ酸との関係を整理しましょう。

アミノ酸は、たんぱく質を構成する材料です。

複数のアミノ酸が「ペプチド結合」と呼ばれる結合によってつながったものを、ペプチドと呼びます。

アミノ酸がつながってペプチドやたんぱく質になる仕組み

アミノ酸が2個つながったものは「ジペプチド」、3個なら「トリペプチド」、4個なら「テトラペプチド」、5個なら「ペンタペプチド」、6個なら「ヘキサペプチド」と呼ばれます。

化粧品の成分表示で、「トリペプチド」や「ヘキサペプチド」といった名称を見かけるのはこのためです。

一方、たんぱく質もアミノ酸が多数つながってできています。

ペプチドとたんぱく質をどこで区切るかについては、分野によって扱いが異なるため、「○個までがペプチド」と単純に覚える必要はありません。

アミノ酸がつながってペプチドになり、さらに大きく複雑な構造を持つたんぱく質へつながっていくと考えると分かりやすいでしょう。

化粧品に使われるペプチドの主な種類

化粧品分野では、さまざまなペプチドが研究・使用されています。

研究上は、構造や着目されている仕組みによって、いくつかのタイプに整理されることがあります。

分類 研究で着目される仕組み 化粧品で見かける例
シグナルペプチド 細胞間の情報伝達など パルミトイルペンタペプチド-4、パルミトイルトリペプチド-1など
キャリアペプチド 金属イオンなどと結びつく性質 トリペプチド-1銅など
神経伝達の仕組みに着目したペプチド 神経から筋肉へ情報が伝わる仕組み アセチルヘキサペプチド-8など
酵素の働きに着目したペプチド 皮膚に関係する酵素との相互作用など 種類によって異なる

化粧品に使われる主なペプチドの種類を示した図

例えば、トリペプチド-1銅は「銅ペプチド」「コッパーペプチド」と紹介されることがあります。

アセチルヘキサペプチド-8については、インターネット上で「塗るボトックス」と表現されることがありますが、美容医療で使用されるボツリヌストキシン製剤とは、成分も使用方法も異なります。

また、ここで示した分類は医薬品のような正式な効能分類ではありません。

同じ「ペプチド」という名前でも、構造や研究背景の異なる成分があることを理解するための整理と考えましょう。

ペプチドは小さいから肌に浸透しやすい?

ペプチドについて、「たんぱく質より分子が小さいから肌に入りやすい」と説明されることがあります。

しかし、分子の大きさだけで皮膚への届き方が決まるわけではありません。

皮膚の一番外側にある角層には、外部から物質が簡単に入り込むことを防ぐバリアがあります。

物質の届き方には、分子量のほかにも、水や油へのなじみやすさ、電荷、構造、安定性、製品の処方などが関係します。

実際に、化粧品用ペプチドに関する研究でも、皮膚への透過性は重要な研究課題の一つです。

つまり、

「ペプチド=小さい=肌の奥まで簡単に届く」

と単純に考えることはできません。

ここから分かるのは、ペプチド化粧品では「何が入っているか」だけでなく、その成分をどのように製品へ組み込んでいるかも重要だということです。

化粧品の成分表示からペプチドを見つける方法

化粧品の全成分表示に、「ペプチド」という一つの成分名が書かれているとは限りません。

多くの場合は、具体的なペプチドの表示名称が記載されています。

例えば、次のような名称です。

・トリペプチド-1銅

・アセチルヘキサペプチド-8

・パルミトイルペンタペプチド-4

・パルミトイルトリペプチド-1

・ノナペプチド-1

化粧品の全成分表示からペプチド系成分を見つける方法

「ジ」「トリ」「テトラ」「ペンタ」「ヘキサ」「ノナ」などの言葉は、ペプチドを構成するアミノ酸の数を知る一つの手がかりになります。

一方で、「パルミトイル」「アセチル」など、ペプチドに加えられた構造上の特徴を示す言葉が付いているものもあります。

そのため、「ペプチド」という文字だけを探すのではなく、成分名全体を見ることが大切です。

成分表示の上の方にあるペプチドほど良い?

日本の化粧品では、原則として配合量の多い順に全成分を表示します。

ただし、配合量が1%以下の成分については、順不同で表示することが認められています。

そのため、ペプチドが成分表示の後半に書かれているからといって、「ほとんど入っていない」「意味がない」と判断することはできません。

反対に、前の方に記載されていれば、必ず優れた製品になるという意味でもありません。

成分によって適切な配合量は異なり、化粧品は複数の成分を組み合わせて一つの製品として設計されています。

全成分表示は化粧品を理解するための情報であって、成分のランキング表ではありません。

ペプチド化粧品の効果は?研究はどこまで分かっている?

ペプチドについては、細胞を使った試験から、実際に完成した製品を人が使用する試験まで、さまざまな段階の研究があります。

ペプチド研究における細胞試験・皮膚モデル・完成品のヒト試験の違い

細胞を使った研究

培養した細胞へ成分を加え、どのような反応が起こるかを調べます。

成分の性質を知る重要な研究ですが、実際の皮膚には角層というバリアがあります。

皮膚モデルなどを使った研究

人工皮膚などを使用し、成分の透過性や皮膚での反応を調べる研究です。

細胞のみの試験より実際の皮膚に近づきますが、人が日常的に化粧品を使用する状態とは異なります。

完成品を人が使用する研究

実際の化粧品を一定期間使用し、肌の水分量や見え方などを調べます。

完成品に近い評価ができますが、被験者数、試験期間、比較対象、評価方法などによって結果の意味は変わります。

つまり、「あるペプチドに研究結果がある」ことと、「そのペプチドが入ったすべての化粧品で同じ結果になる」ことは別です。

研究情報を見るときは、どの成分を、どの濃度・処方で、どのような条件で調べたのかまで確認することが大切です。

ペプチド化粧品は「成分名」だけでなく処方設計を見る

ここまで見てきたように、ペプチド化粧品では「どのペプチドを配合するか」だけでなく、そのペプチドをどのような製品として設計するかも重要です。

同じペプチドでも、構造によって水や油へのなじみ方、安定性、ほかの成分との相性などは異なります。

そのため、化粧品分野ではペプチドそのものだけではなく、化学的な修飾やカプセル化、キャリア、デリバリーシステムなども研究されています。

SONIMEDIが研究するペプチド技術

ovacoの開発・製造を担う韓国SONIMEDIも、自社研究組織「Bio Cell Fusion Science Institute」でバイオ素材や化粧品処方の研究を行っています。

公式サイトでは、研究領域の一つとして「Peptide Fusion Formulation & Manufacturing」を掲げています。

さらに、ペプチド研究の一例として「Peptisome™」という素材を公開しています。

Peptisome™は、SONIMEDIの公開情報では20種類のアミノ酸からなるペプチド複合体を基盤としたデリバリー素材として紹介され、アセチルヘキサペプチド-8、パルミトイルペンタペプチド-4、ニコチノイルトリペプチド-1など複数のペプチド系成分が構成要素として挙げられています。

ここで見るべきなのは、「何種類ものペプチドがあるから優れている」ということではありません。

ペプチドをどう組み合わせ、どのような処方として設計するかまで研究対象としていることがポイントです。

なお、SONIMEDIがPeptisome™技術を保有していることと、現在販売されているovaco製品にPeptisome™そのものが採用されていることは別です。

現時点の公開情報では、個別のovaco製品へのPeptisome™採用までは確認できないため、メーカーが保有する研究技術と、実際の商品に採用されている技術は分けて考える必要があります。

EGG B.P CELLだけではない|成分表から見るovacoのペプチド設計

SONIMEDIの研究背景を踏まえて、実際のovaco製品の成分表示を見てみましょう。

ovacoを代表する「EGG B.P CELL」シリーズは、ニワトリ多能性細胞培養順化培養液を特徴とするシリーズです。

ただし、EGG B.P CELLそのものがペプチドという意味ではありません。

特徴的なのは、EGG B.P CELLだけを見るのではなく、複数のペプチド系成分や保湿成分、油性成分などを組み合わせ、一つのスキンケア製品として設計している点です。

EGG B.P CELLシリーズとovacoのペプチドを組み合わせたスキンケア設計

製品 ペプチド系成分の例 そのほかの処方の特徴
ビューティーローション アセチルヘキサペプチド-8、トリペプチド-1銅、ペンタペプチド-3、パルミトイルペンタペプチド-4など EGG B.P CELLに加え、複数のオリゴペプチド・ポリペプチド系成分を組み合わせる
セラム アセチルヘキサペプチド-8、トリペプチド-1銅、パルミトイルペンタペプチド-4、トリペプチド-1など ヒアルロン酸Na、セラミドNPなども組み合わせる
クリーム アセチルヘキサペプチド-8、トリペプチド-1銅、ノナペプチド-1、パルミトイルペンタペプチド-4など シア脂、スクワラン、植物由来の油性成分なども配合

ここで重要なのは、「何種類のペプチドが入っているか」という数だけを見ることではありません。

EGG B.P CELLという特徴的な成分に、構造や研究背景の異なるペプチド、保湿成分、油性成分などを組み合わせ、ローション・セラム・クリームそれぞれの製品として設計していることです。

一つのスター成分ですべてを考えるのではなく、成分同士の組み合わせと完成品としての役割を見る。

これは、ペプチド化粧品を選ぶときにも共通する考え方です。

オバコ ビューティーローションを詳しく見る →

オバコ クリームを詳しく見る →

EGG B.P CELLシリーズ「オバコ ビューティーセット」を見る →

EGG B.P CELLそのものについて詳しく知りたい方は、「鶏卵幹細胞(EGG B.P Cell)とは?」もあわせてご覧ください。

ペプチド配合化粧品を選ぶときの5つのポイント

1. 「ペプチド配合」という言葉だけで選ばない

具体的にどのようなペプチドが配合されているのかを確認してみましょう。

「○種類のペプチド配合」という数字は分かりやすいものですが、種類が多いほど自分にとって良い化粧品になるとは限りません。

2. 成分表示の順位だけで判断しない

1%以下の成分は順不同で表示できるため、全成分表示だけから正確な配合量を判断することはできません。

成分によって適した配合量も異なります。

3. ペプチド以外の成分も見る

化粧品の使用感や保湿感は、ペプチド一つだけで決まりません。

保湿成分や油性成分など、製品全体の組み合わせを確認しましょう。

4. 研究結果と市販の完成品を分けて考える

特定のペプチドについて論文や研究結果があっても、その結果を別の製品へそのまま当てはめることはできません。

「どの成分を、どの濃度・処方で、どのような条件で調べた研究なのか」を見ることが大切です。

5. 最後は自分の肌と使い続けやすさで選ぶ

注目されている成分でも、自分の肌に合わなければ、毎日のスキンケアとして続けることはできません。

肌状態、使用感、スキンケアの目的、使用する順番まで含めて選びましょう。

まとめ|ペプチドは「成分名」の先を見る

ペプチドとは、複数のアミノ酸がつながった化合物の総称です。

化粧品にはさまざまなペプチドが使われており、それぞれ構造や研究背景が異なります。

だからこそ、「ペプチド配合」という言葉だけで製品を判断することはできません。

どのペプチドなのか。どのような処方に組み込まれているのか。ほかの成分とどう組み合わされているのか。

さらに、研究結果を見るときは、その成分について得られた結果と、市販されている完成品の化粧品を分けて考えることも大切です。

成分を知ることをゴールにするのではなく、自分の肌に合った化粧品を選ぶための手がかりとして活用してみてください。

ovaco EGG B.P CELLシリーズを見る
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肌のうるおいに関わる「NMFとは?」も読む

参考文献・参考情報

本記事は一般的な化粧品・スキンケア情報を提供するもので、特定製品の効能を保証するものではなく、医療診断や治療を目的とするものでもありません。SONIMEDIの技術については同社が公開する研究・技術情報をもとに紹介しており、個別のovaco製品への採用を公開情報で確認できない技術については、その旨を明記しています。強い赤み、かゆみ、腫れ、ヒリつき、痛みなどがある場合や症状が続く場合は使用を中止し、皮膚科専門医へ相談してください。